BASIC COLOR is “KURO” 黒ってベーシックですよね? 05.Film critic

映画の面白さを、分かりやすく噛み砕いた形で伝える

映画解説者という肩書きににした理由を教えてください。

『ブレードランナー 2049』が公開しましたが、80年代の最初の作品公開時は興行も振るわず。だけど、後々に映画ファンや、評論家たちが再評価をしたことで、いまや歴史的な作品になっています。映画史では、よく起きている現象ですよ。
評論というのは、"作品に価値を加える"ことですが、僕は、"映画の面白さを、分かりやすく噛み砕いた形で伝える"がベースなので、評論家というよりは解説者というスタンスなんです。

映画解説においてベースにしている部分は?

僕が映画の本当の面白さを知った作品は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なのですが、それはエンターテインメントとしてうまく作られているかどうかが重要ですし、テレンス・マリックの『ツリー・オブ・ライフ』なら、旧約聖書のヨブ記という一節を前提にした物語なので、アートの世界に近い。
つまり、そういう"狙い"に対して、"映画表現として正しくなされているのか?"を基準にしています。

映画解説者としての最終的な目標を教えてください。

現状、映画の総興行収入って2200億円くらいなのですが、10年以内に4000億円にしたいですね。その為には、現在の倍くらいの入場稼動数にしないと。だから、普段、映画に興味を持っていない人に、"どんなアプローチで伝えるか?"が、今後の僕がやるべきことで、ただ、SNSやテレビ、紙、ラジオ、インターネットなど、様々な媒体を使っていますが、ナニが話題になり人々の興味を惹くのかは正直分からない。
いまの時代って、「コレだけ!」と決めてしまうことがダメだと考えてます。

活動のベーシックとなっている部分を教えてください。

僕が大事にしているのは、それが"面白いかどうか?"という部分。そして、"そこに関わる人が楽しんでいるか?"、"喜んでくれる人がいるか?"。自分だけが面白いのは嫌なんです。そこは行動規範にしていますね。
現在、映画解説者のほか、月に一度、どんな先生が来て、何の授業をやるのか分からない、『偶然の学校』という企画をやっています。"人は関心のあることしか関心が無い"という考えがあって、それが世の中の多くの問題の最終的な原因であると思っているのと、特に最近の子たちはネット検索で分かった気になっている部分があると感じていて、でも、実際にやってみないと分からないことは山ほどある。だからその企画で、偶然性をもとに興味があるかどうかもわからないことを実際に体験することを通じて、それぞれの生徒たちが自分で面白さを見出して考えるんです。その企画を提供することで、生徒が楽しんで成長してくれるのが、ぼくにとっては面白いんです。

"何者でもある"というのが、"黒"なんじゃないかな。

最後に、本企画は「黒=ベーシック」というテーマなのですが、中井さんにとっての"黒"のイメージを教えてください。

"黒"が演出する奥深さは、映画から感じることが多いですね。
キャロル・リード監督の『第三の男』というモノクロ映画では、"黒"の表現が本当に優れていて、特に、ハリー・ライムが真っ暗な影から出てくるシーンが印象的。
もうひとつ例を挙げると、撮影監督のロジャー・ディーキンスは、とにかく「夜を撮るのが上手だ」と言われていて、『007 スカイフォール』では、ボンドの実家が燃えるシーンで、闇が深くなることで表情が変わる"黒"を感じとれる。
そういう意味でいうと、"何者でもある"というのが、"黒"なんじゃないかな。

中井 圭 Kei Nakai

映画解説者/映画紹介プロジェクト「映画の天才」代表。才能育成プロジェクト「偶然の学校」代表。無料上映プロジェクト「ナカメキノ」クリエイティブディレクター。東京国際映画祭や映画トークイベントで映画解説を行うなど、映画の面白さを伝える為、幅広く活動中。

何色にも染まらない色、それは「黒」。

黒の艶やかな輝きは、周囲の色を引き締め、個性を際立たせてくれます。
いつでもどんな時にでも頼りになる1本に。