BASIC COLOR is “KURO” 黒ってベーシックですよね? 12.Photographer

気づいたら写真家になっていた

写真家になったキッカケを教えてください。

特に「なろう!」と思ってなった訳ではないんです。
武蔵野美術大学で映像学科に行ったのですが、実は最初、別の大学に。でも、面白くなくて1年で辞めて武蔵野美術大学に行きました。
映像学科に入ったのも、当時はWEBやCG、映画、写真、そしてデジタルコンテンツとか幅広く扱っていたので、「手に職も付くかな」と軽い感じで(笑)。
結果的に写真を選択したのは、大学を出てからなんです。

では、どのような経緯で写真家になれたのでしょうか?

日本の大学を出てから、アメリカの大学に留学したのですが、その時に南米とか、色々な国に行ったりして、写真を撮っていたんです。そうしたら日本の出版社から声が掛かって、それでいきなり本を出せたんですね。だから、気づいたら写真家になっていたという感じなんですよ。

いわゆる"奇妙なモノ"に興味を持ち始めたキッカケは何ですか?

子どもの頃から、UFOとか、遺跡とか、廃墟もそうですし、そういう変わったモノゴトに興味があったんです。自分では人並みに好きだったと思っているのですが、思ったより深かったみたいですね(笑)。
あとは、映画の『インディ・ジョーンズ』が好きで、本気で「こういう人生を送るにはどうしたらいいんだろ?」と考えた時に、考古学者になろうと。でも、高校生の時に、エジプト考古学者の吉村作治さんの講演に行ったのですが、思ったよりもやれる事がかなり地味だという事が分かって。結果的に写真家として、そういう場所を巡るようになった感じです。

世界各国、様々な場所に行かれてますが、印象に残っている場所はありますか?

国で言うと120ヶ国くらい行っているのですが、色々ですよね。日本の軍艦島も面白いですし、ネネツ人が暮らしている少数民族の村も良かったです。
ネネツ人というのは、ロシア北極地方の雪原でトナカイを2,000頭くらい連れて生活している、衣装が可愛い遊牧民で、元々ロシアの立ち入り禁止区域だったのですが、一昨年に自由に入れる様になったので、それで「行こう!」と。そこでは良い写真がかなり撮れましたね。

“黒”は、簡単なようで難しい色、
一番奥が深い色です

佐藤さんにとってベーシックとなっている部分は何でしょう?

やはり写真です。
文章も書きますが、積極的に書きたいとまでは思わないですね。だから、依頼がないと書こうとはしないです。写真は、頼まれてなくても撮りますし、撮るのが好きなんですよ。

最後に、本企画は「黒=ベーシック」というテーマなのですが、佐藤さんにとっての"黒"のイメージを教えてください。

ファッションは基本黒ばかりになってしまうので、なるべくしないようにしようと心掛けるくらい黒ばかり。被写体として言うと簡単な様で難しい色、一番奥が深いですよ。写真のモノクロって白黒ですが、黒って写真の中では存在しない色で、実は無限のグレーの諧調なんですよね。諧調性を綺麗に出すのは、本当に写真の上手い人じゃないと出来ないと思います。それに恐らく、自然界には存在していない色。
昔、NASAが火星の写真を公表したんですが、それを入手した宇宙人の研究者が「自然に存在しないもの」を探すためにコンピューターで写真から"黒"と"直線"を探すプログラムを作った話を思い出しました(笑)。それが存在すれば人工物だと。
とにかく、奥が深い色ですよね。

佐藤健寿 Kenji Sato

武蔵野美術大学卒。フォトグラファー。世界各地の“奇妙なもの”を対象に、博物学的・美学的視点から撮影・執筆。写真集『奇界遺産』『奇界遺産2』(エクスナレッジ)は異例のベストセラーに。NHKラジオ第1「ラジオアドベンチャー奇界遺産」、テレビ朝日「タモリ倶楽部」、TBS系「クレイジージャーニー」、NHK「ニッポンのジレンマ」ほかテレビ・ラジオ・雑誌への出演歴多数。トヨタ・エスティマの「Sense of Wonder」キャンペーン監修など幅広く活動。

何色にも染まらない色、それは「黒」。

黒の艶やかな輝きは、周囲の色を引き締め、個性を際立たせてくれます。
いつでもどんな時にでも頼りになる1本に。